運動とエネルギーの予想問題5問——打点の時間と仕事の原理のミスを1問ずつ解説
運動とエネルギーは中3で習う理科の単元で、記録タイマーと平均の速さ、斜面や水平面での運動と慣性、仕事と仕事の原理、仕事率、力学的エネルギーの保存が問われます(回ごとの範囲は → テスト範囲)。打点の時間の読み取りや、「動いているなら力がはたらいている」という思いこみで点を落としやすい単元です。平均の速さ・斜面と水平面・仕事・仕事率・力学的エネルギーの5問にしぼり、1問ずつ解説しました。計算の答えは検算済みです。
- 平均の速さは、移動した距離をかかった時間でわる。打点の間の時間を先に出す
- 斜面に沿った力は一定で、速さは一定の割合で増える。水平面では等速直線運動
- 仕事=力×力の向きに動いた距離。道具を使っても仕事の大きさは変わらない
- 仕事率は、仕事をかかった時間(秒)でわる
- 摩擦がなければ、位置エネルギーと運動エネルギーの和は一定
問題(まず自分で解いてみよう)
- 1秒間に50回打点する記録タイマーで台車の運動を記録しました。テープを5打点ごとに区切ったところ、ある区間の長さは4.2cmでした。この区間の台車の平均の速さは何cm/sですか。
- 摩擦や空気の抵抗は考えないものとして、斜面と水平面での台車の運動について、正しいものを次のア〜エからすべて選びなさい。
ア 斜面の傾きを大きくすると、斜面を下る台車の速さの増え方は大きくなる。
イ 斜面を下る台車にはたらく斜面に沿った下向きの力は、下るにつれて大きくなる。
ウ 斜面を下りきって水平面に出た台車は、一定の速さで一直線上を進み続ける。
エ 水平面を進む台車は、力がはたらいていないので、だんだん遅くなって止まる。 - 重さ20Nの物体を、真上にゆっくり1.5m持ち上げました。このときの仕事は何Jですか。また、動滑車を1つ使って同じ物体を同じ高さまで持ち上げるとき、ひもを引く力の大きさと、ひもを引く距離はそれぞれいくらですか。ただし、動滑車とひもの重さや摩擦は考えないものとします。
- 問題3で、物体を直接持ち上げる仕事(30J)を5秒かけて行いました。このときの仕事率は何Wですか。また、同じ仕事を3秒で行うと、仕事率は大きくなりますか、小さくなりますか。
- 摩擦や空気の抵抗がないレールの上で、高さ50cmの点Aから小球を静かにはなしました。小球は最も低い点Bを通り、反対側の高さ20cmの点Cを通過しました。点Cでの小球の運動エネルギーは、点Aでの位置エネルギーの何分のいくつですか。ただし、点Bを高さの基準とし、位置エネルギーは高さに比例するものとします。
目安:1問1〜2分。解き終わったら、下の「答えと解説を見る」を開いて確かめましょう。
答えと解説
問題1
1秒間に50回打点する記録タイマーで台車の運動を記録しました。テープを5打点ごとに区切ったところ、ある区間の長さは4.2cmでした。この区間の台車の平均の速さは何cm/sですか。
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答え:42cm/sです
考え方:1秒間に50回打点するので、打点と打点の間は50分の1秒です。5打点ごとの区間は、その5つ分で10分の1秒になります。平均の速さは、移動した距離を、かかった時間でわって求めます。
解き方:4.2cmを10分の1秒で移動したので、1秒あたりではその10倍の42cm/sです。
よくあるミス:① 5打点の区間を「5秒」や「50分の1秒」としてしまうミス。打点の間の時間を先に出してから、区間の時間を考えましょう。② 1秒間に60回打点するタイマーと取りちがえるミス。60回なら6打点で10分の1秒になります。問題文の回数を必ず確かめます。
確かめ:42cm/sの速さで10分の1秒進むと、進む距離は42cmの10分の1で4.2cmになり、テープの長さと一致します。
問題2
摩擦や空気の抵抗は考えないものとして、斜面と水平面での台車の運動について、正しいものを次のア〜エからすべて選びなさい。
ア 斜面の傾きを大きくすると、斜面を下る台車の速さの増え方は大きくなる。
イ 斜面を下る台車にはたらく斜面に沿った下向きの力は、下るにつれて大きくなる。
ウ 斜面を下りきって水平面に出た台車は、一定の速さで一直線上を進み続ける。
エ 水平面を進む台車は、力がはたらいていないので、だんだん遅くなって止まる。
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答え:アとウです
考え方:斜面上の台車には、重力の斜面に沿った分力がはたらき続けるので、速さは一定の割合で増えます。この分力は、斜面の傾きが大きいほど大きくなります。水平面では運動の向きに力がはたらかないので、慣性によって等速直線運動を続けます。
解き方:ア は傾きが大きいほど斜面に沿った分力が大きくなるので正しい。イ の斜面に沿った力は、同じ斜面上ならどこでも一定なので誤り。ウ は等速直線運動なので正しい。エ は、力がはたらかなければ運動のようすは変わらないので誤りです。答えはアとウです。
よくあるミス:① 「速さが増える=力も増える」と考えて イ を選ぶミス。力が一定でも、はたらき続けると速さは増え続けます。② 「動き続けるには力が必要」と考えて エ を選ぶミス。摩擦がなければ、力がはたらかなくても物体は同じ速さで動き続けます。
確かめ:記録タイマーのテープで比べると、斜面上では区間ごとの長さが一定の割合で長くなり、水平面上では区間の長さが同じになります。ア とウ の内容と合っています。
問題3
重さ20Nの物体を、真上にゆっくり1.5m持ち上げました。このときの仕事は何Jですか。また、動滑車を1つ使って同じ物体を同じ高さまで持ち上げるとき、ひもを引く力の大きさと、ひもを引く距離はそれぞれいくらですか。ただし、動滑車とひもの重さや摩擦は考えないものとします。
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答え:仕事は30Jです。動滑車を使うと、引く力は10Nで、引く距離は3mです
考え方:仕事(J)=力の大きさ(N)×力の向きに動いた距離(m)です。動滑車を1つ使うと、物体を2本のひもで支えるので、引く力は半分になりますが、引く距離は2倍になります。
解き方:20Nの力で1.5m持ち上げるので、仕事は30Jです。動滑車を使うと、引く力は20Nの半分の10N、引く距離は1.5mの2倍の3mです。
よくあるミス:① 動滑車を使うと仕事も半分になると考えるミス。力は半分になりますが距離が2倍になるので、仕事の大きさは変わりません。これを仕事の原理といいます。② 重さをkgのまま計算するミス。仕事の計算では、力の単位はNを使います。
確かめ:動滑車を使ったときの仕事は、10Nの力で3m引くので30Jです。直接持ち上げたときの30Jと同じになり、仕事の原理と合っています。
問題4
問題3で、物体を直接持ち上げる仕事(30J)を5秒かけて行いました。このときの仕事率は何Wですか。また、同じ仕事を3秒で行うと、仕事率は大きくなりますか、小さくなりますか。
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答え:仕事率は6Wです。3秒で行うと仕事率は大きくなります
考え方:仕事率(W)は、1秒あたりにする仕事の大きさで、仕事(J)を、かかった時間(秒)でわって求めます。
解き方:30Jを5秒でわって、仕事率は6Wです。同じ30Jの仕事を3秒で行うと、30Jを3秒でわって10Wになるので、仕事率は大きくなります。
よくあるミス:① 仕事に時間をかけてしまうミス。仕事率は「1秒あたり」なので、時間でわります。② 時間を分のまま計算するミス。仕事率を求めるときは、時間を必ず秒に直します。
確かめ:6Wで5秒間仕事をすると、6Jの5倍で30Jになり、問題の仕事と一致します。同じ仕事なら、短い時間で行うほど仕事率は大きい、という関係とも合っています。
問題5
摩擦や空気の抵抗がないレールの上で、高さ50cmの点Aから小球を静かにはなしました。小球は最も低い点Bを通り、反対側の高さ20cmの点Cを通過しました。点Cでの小球の運動エネルギーは、点Aでの位置エネルギーの何分のいくつですか。ただし、点Bを高さの基準とし、位置エネルギーは高さに比例するものとします。
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答え:5分の3です
考え方:摩擦や空気の抵抗がなければ、位置エネルギーと運動エネルギーの和(力学的エネルギー)は一定に保たれます。これを力学的エネルギーの保存といいます。
解き方:点Aでは小球は止まっているので、力学的エネルギーはすべて位置エネルギーで、高さ50cm分です。点Cの位置エネルギーは高さ20cm分なので、50cm分のうち20cm分にあたる5分の2です。残りの5分の3が運動エネルギーになっています。
よくあるミス:① 点Cの位置エネルギー(5分の2)をそのまま答えてしまうミス。聞かれているのは運動エネルギーなので、全体から位置エネルギーの分を引きます。② 点Cは点Aより低いので、運動エネルギーは0だと考えるミス。運動エネルギーが0になるのは、点Aと同じ高さまで上がったときです。
確かめ:点Cでの位置エネルギーの5分の2と運動エネルギーの5分の3を合わせると1になり、点Aでの位置エネルギーと等しくなります。力学的エネルギーの保存と合っています。
運動とエネルギーのまとめ表
| 項目 | 式・きまり | まちがえやすい点 | この記事の問題 |
|---|---|---|---|
| 平均の速さ | 移動した距離÷かかった時間 | 打点の間の時間(50回なら50分の1秒) | 問題1 |
| 斜面と水平面の運動 | 斜面では速さが一定の割合で増える、水平面では等速直線運動 | 斜面に沿った力は下っても一定 | 問題2 |
| 仕事 | 力(N)×力の向きに動いた距離(m) | 動滑車では力が半分、距離が2倍で、仕事は同じ | 問題3 |
| 仕事率 | 仕事(J)÷かかった時間(秒) | 時間を秒に直す | 問題4 |
| 力学的エネルギー | 位置エネルギーと運動エネルギーの和は一定 | 全体から位置エネルギーの分を引いて運動エネルギーを出す | 問題5 |
迷ったときの手順
- 記録タイマーの問題は、1秒間の打点の回数から、区間の時間を先に出す
- 運動のようすの問題は、運動の向きに力がはたらいているかどうかを最初に決める
- 仕事の問題は、力(N)と、その力の向きに動いた距離(m)を書き出してから計算する
- エネルギーの問題は、はじめの力学的エネルギーを「全体」として、位置エネルギーと運動エネルギーに分ける
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よくある質問
記録タイマーで平均の速さを求めるにはどうしますか?
まず1秒間の打点の回数から、打点の間の時間を出します。1秒間に50回打点するなら、5打点ごとの区間は10分の1秒です。区間の長さをその時間でわって平均の速さを求めます。
仕事の原理とは何ですか?
滑車や斜面などの道具を使って力を小さくしても、そのぶん動かす距離が長くなるので、仕事の大きさは変わらない、というきまりです。
力学的エネルギーの保存とは何ですか?
摩擦や空気の抵抗がなければ、位置エネルギーと運動エネルギーの和が一定に保たれることです。高さが低くなって位置エネルギーが減ったぶん、運動エネルギーが増えます。
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