化学変化と化学反応式の予想問題5問——係数と化学式の書き方のミスを1問ずつ解説
化学変化と原子・分子は中2で習う理科の単元で、化学式と化学反応式、分解、物質どうしが結びつく化学変化、単体と化合物の区別が問われます(回ごとの範囲は → テスト範囲)。係数のつけ方や、金属と分子の書き方のちがいを取りちがえると、わかっていても点を落としやすい単元です。水の電気分解・酸化銀の熱分解・鉄と硫黄・炭酸水素ナトリウムの分解・単体と化合物の5問にしぼり、1問ずつ解説しました。化学反応式は両辺の原子の数を検算済みです。
- 化学反応式は、左右で原子の種類と数が等しくなるように係数で合わせる(化学式は変えない)
- 金属(Ag、Cu、Fe など)は元素記号1つで書き、気体の酸素・水素は O2・H2 と書く
- 鉄と硫黄が結びつくと硫化鉄ができ、磁石につかず、塩酸で硫化水素が出る
- 炭酸水素ナトリウムは炭酸ナトリウム・水・二酸化炭素に分解。試験管の口は下げる
- 1種類の元素でできたものが単体、2種類以上が化合物
問題(まず自分で解いてみよう)
- 水の電気分解を表す化学反応式を完成させなさい。
( )H2O → ( )H2 + O2 - 酸化銀を加熱すると、銀と酸素に分かれます。この化学変化を化学反応式で表しなさい。ただし、酸化銀の化学式は Ag2O です。
- 鉄粉と硫黄の粉末の混合物を加熱すると、黒い物質ができました。加熱後の物質について正しいものを、次のア〜エから1つ選びなさい。
ア 磁石によく引きつけられる。
イ うすい塩酸を加えると、においのない水素が発生する。
ウ 鉄とも硫黄ともちがう、別の物質(硫化鉄)である。
エ 加熱前の混合物と同じ性質をもつ。 - 炭酸水素ナトリウムを試験管に入れて加熱しました。加熱するとき、試験管の口を少し下げておく理由を答えなさい。また、この化学変化でできる物質を3つ答えなさい。
- 次のア〜オの物質のうち、単体をすべて選びなさい。
ア O2(酸素) イ H2O(水) ウ Cu(銅) エ CO2(二酸化炭素) オ NaCl(塩化ナトリウム)
目安:1問1〜2分。解き終わったら、下の「答えと解説を見る」を開いて確かめましょう。
答えと解説
問題1
水の電気分解を表す化学反応式を完成させなさい。
( )H2O → ( )H2 + O2
答えと解説を見る
答え:2H2O → 2H2 + O2
考え方:化学反応式では、矢印の左側(反応前)と右側(反応後)で、原子の種類と数が等しくなるように、化学式の前に係数をつけます。化学式そのもの(H2O の小さい数字)は変えてはいけません。
解き方:右側には O2 があるので酸素原子が2個必要です。左側の水を2つにして 2H2O とすると、酸素原子は2個になります。すると左側の水素原子は4個になるので、右側の水素も2つにして 2H2 とします。答えは 2H2O → 2H2 + O2。
よくあるミス:① 酸素の数を合わせるために H2O2 のように化学式を書きかえてしまうミス。H2O2 は別の物質(過酸化水素)になってしまいます。数を合わせるのは係数だけです。② 酸素を O と1つの原子で書くミス。気体の酸素は分子 O2 で表します。
確かめ:左側では、水素原子は4個あり、酸素原子は2個あります。右側でも、水素原子は2H2で4個、酸素原子はO2で2個です。両側で原子の数が等しくなっています。
問題2
酸化銀を加熱すると、銀と酸素に分かれます。この化学変化を化学反応式で表しなさい。ただし、酸化銀の化学式は Ag2O です。
答えと解説を見る
答え:2Ag2O → 4Ag + O2
考え方:1種類の物質が2種類以上の物質に分かれる化学変化を分解(加熱による分解は熱分解)といいます。銀は金属なので、化学式は原子1個の記号 Ag で表します。
解き方:まず Ag2O → Ag + O2 と書きます。右側の O2 に合わせて酸化銀を2つにすると 2Ag2O で、銀原子は4個になります。右側の銀も4つにして、2Ag2O → 4Ag + O2。
よくあるミス:① 銀を Ag2 と分子のように書いてしまうミス。金属は分子をつくらないので、Ag と書きます。② 係数をそろえたあとに、銀の係数を直し忘れるミス。酸素を合わせたら、もう一度銀の数を数え直しましょう。
確かめ:左側では、銀原子は4個あり、酸素原子は2個あります。右側では、4Agで銀原子が4個、O2で酸素原子が2個です。両側で数が一致しています。
問題3
鉄粉と硫黄の粉末の混合物を加熱すると、黒い物質ができました。加熱後の物質について正しいものを、次のア〜エから1つ選びなさい。
ア 磁石によく引きつけられる。
イ うすい塩酸を加えると、においのない水素が発生する。
ウ 鉄とも硫黄ともちがう、別の物質(硫化鉄)である。
エ 加熱前の混合物と同じ性質をもつ。
答えと解説を見る
答え:ウです
考え方:鉄と硫黄が結びつくと、硫化鉄(Fe + S → FeS)という別の物質ができます。化学変化でできた物質は、もとの物質とは性質がちがいます。
解き方:硫化鉄は磁石につかず(アは誤り)、うすい塩酸を加えると、においのある硫化水素が発生します(イは誤り)。性質がもとの混合物とちがうのでエも誤り。正しいのはウです。
よくあるミス:① 加熱前と加熱後の性質を逆に覚えるミス。加熱前の混合物は鉄をふくむので磁石につき、塩酸で水素(においなし)が出ます。加熱後は、どちらも逆になります。② 硫化水素のにおいを直接かいでしまう危険な方法を答えるミス。においは手であおいで確かめます。
確かめ:化学反応式 Fe + S → FeS では、左側も右側も、鉄原子は1個で、硫黄原子も1個です。原子の組み合わせが変わって新しい物質になったことがわかります。
問題4
炭酸水素ナトリウムを試験管に入れて加熱しました。加熱するとき、試験管の口を少し下げておく理由を答えなさい。また、この化学変化でできる物質を3つ答えなさい。
答えと解説を見る
答え:発生した水が加熱部分に流れて試験管が割れるのを防ぐためです。できる物質は炭酸ナトリウムと水と二酸化炭素です
考え方:炭酸水素ナトリウムを加熱すると、炭酸ナトリウム・水・二酸化炭素の3つに分解します(2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2)。できた水が試験管の口付近にたまります。
解き方:口を上げていると、口付近にたまった水が加熱している底の方に流れ、急に冷やされて試験管が割れるおそれがあります。だから口を少し下げます。できる物質は炭酸ナトリウム、水、二酸化炭素です。
よくあるミス:① 理由を「気体を集めやすくするため」と書いてしまうミス。口を下げるのは、水が逆流して試験管が割れるのを防ぐためです。② 加熱をやめる前にガスバーナーの火を消してしまうミス。先にガラス管を石灰水から出しておかないと、石灰水が逆流します。
確かめ:二酸化炭素は石灰水を白くにごらせ、水は青色の塩化コバルト紙を赤色(桃色)に変えることで確かめられます。残った白い固体(炭酸ナトリウム)は、水によくとけ、フェノールフタレイン液で濃い赤色になります。
問題5
次のア〜オの物質のうち、単体をすべて選びなさい。
ア O2(酸素) イ H2O(水) ウ Cu(銅) エ CO2(二酸化炭素) オ NaCl(塩化ナトリウム)
答えと解説を見る
答え:アとウです
考え方:1種類の元素だけでできている物質を単体、2種類以上の元素が結びついてできている物質を化合物といいます。化学式に出てくる元素記号の種類の数で見分けます。
解き方:O2 は酸素だけ、Cu は銅だけでできているので単体です。H2O(水素と酸素)、CO2(炭素と酸素)、NaCl(ナトリウムと塩素)は2種類の元素でできているので化合物です。答えはアとウ。
よくあるミス:① O2 の「2」を見て、2種類だから化合物だと考えるミス。小さい数字は原子の数で、種類は酸素1種類だけです。② 混合物と化合物を混同するミス。空気のように複数の物質が混ざっているだけのものは混合物で、化合物は1つの物質です。
確かめ:元素記号(大文字で始まる記号)がいくつ出てくるかを数えると、O2 と Cu は1種類、ほかは2種類です。単体と化合物の分け方と一致しています。
化学変化のまとめ表
| 化学変化 | 化学反応式 | 確かめ方・注意点 | この記事の問題 |
|---|---|---|---|
| 水の電気分解 | 2H2O → 2H2 + O2 | 陰極に水素、陽極に酸素。体積は水素が酸素の2倍 | 問題1 |
| 酸化銀の熱分解 | 2Ag2O → 4Ag + O2 | 白い銀が残り、こするとかがやく。酸素は線香で確かめる | 問題2 |
| 鉄と硫黄 | Fe + S → FeS | 硫化鉄は磁石につかない。塩酸で硫化水素(におい) | 問題3 |
| 炭酸水素ナトリウムの熱分解 | 2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2 | 試験管の口を下げる。水は塩化コバルト紙、二酸化炭素は石灰水 | 問題4 |
| 銅の酸化 | 2Cu + O2 → 2CuO | 赤色の銅が黒色の酸化銅になる | (まとめ) |
迷ったときの手順
- 反応前と反応後の物質を、正しい化学式で書き出す(金属は元素記号1つ、気体の酸素はO2)
- いちばん原子の数が合わない元素から、係数をつけて合わせる
- 係数をつけたら、すべての元素について左右の原子の数をもう一度数え直す
- 単体か化合物かは、化学式に出てくる元素の種類の数で判断する
埼玉の高校受験の全体の流れ(北辰テスト・確約・公立入試の日程)→ 埼玉の高校受験ガイド【2027年度入試】
あわせて読みたい
- ほかの単元の予想問題(5問・解説つき) → 単元別予想問題の一覧
- 中1の化学 → 物質の性質と気体の予想問題
- 中1の化学 → 状態変化の予想問題
- 回ごとの出題範囲 → 北辰テストのテスト範囲
- 5教科の予想問題(PDF) → 北辰テスト 予想問題
- 理科全体の勉強法 → 北辰テスト理科の勉強法
よくある質問
化学反応式の係数はどうやって決めますか?
矢印の左右で、それぞれの元素の原子の数が等しくなるように、化学式の前に係数をつけます。化学式の小さい数字は変えてはいけません。最後に全部の元素の数を数え直して確かめます。
単体と化合物のちがいは何ですか?
1種類の元素だけでできている物質が単体、2種類以上の元素が結びついてできている物質が化合物です。酸素や銅は単体、水や二酸化炭素は化合物です。
鉄と硫黄が結びついた物質はどんな性質ですか?
硫化鉄という別の物質になり、磁石につきません。うすい塩酸を加えると、においのある硫化水素が発生します。加熱前の鉄と硫黄の混合物とは性質がちがいます。
問題はすべて当サイトのオリジナルです。化学反応式は左右の原子の数を検算済みです。「北辰テスト」は北辰図書株式会社の商標です。当サイトは北辰図書株式会社・埼玉県教育委員会・各高等学校とは関係のない非公式の学習支援サイトです。
