水溶液とイオン・電池の予想問題5問——電子の向きと極の取りちがえを1問ずつ解説
水溶液とイオン・電池は中3で習う理科の単元で、電解質と非電解質、原子とイオンのでき方、電気分解、金属のイオンへのなりやすさ、ダニエル電池のしくみが問われます(回ごとの範囲は → テスト範囲)。電子をやりとりする向きや、陰極と陽極・−極と+極を逆に覚えて点を落としやすい単元です。電解質・イオンのでき方・電気分解・イオンへのなりやすさ・ダニエル電池の5問にしぼり、1問ずつ解説しました。
- 水にとけてイオンに分かれる物質が電解質で、その水溶液には電流が流れる
- 電子を失うと陽イオン、電子を受けとると陰イオン。陽子の数は変わらない
- 電気分解では、陽イオンは陰極へ、陰イオンは陽極へ引かれる
- 金属板に別の金属が付着したら、金属板の金属のほうがイオンになりやすい
- 電池ではイオンになりやすい金属が−極。電子は−極から+極へ移動する
問題(まず自分で解いてみよう)
- 次のア〜オの水溶液のうち、電流が流れるもの(電解質の水溶液)をすべて選びなさい。
ア 砂糖水
イ 食塩水
ウ エタノール水溶液
エ 塩酸
オ 水酸化ナトリウム水溶液 - ナトリウム原子は、陽子の数が11、電子の数が11です。ナトリウム原子が電子を1つ失うと何というイオンになりますか。化学式で答えなさい。また、そのイオンの電子の数はいくつで、全体として+と−のどちらの電気を帯びていますか。
- 塩化銅水溶液に炭素棒の電極を入れて電流を流しました。陰極と陽極に出てくる物質はそれぞれ何ですか。また、塩化銅が水の中で電離するようすを、イオンの化学式を使って表しなさい。
- マグネシウム板・亜鉛板・銅板を、硫酸マグネシウム水溶液・硫酸亜鉛水溶液・硫酸銅水溶液にそれぞれ入れました。マグネシウム板は硫酸亜鉛水溶液と硫酸銅水溶液で金属が付着し、亜鉛板は硫酸銅水溶液でだけ金属が付着し、銅板はどの水溶液でも変化がありませんでした。3つの金属を、イオンになりやすい順にならべなさい。
- 硫酸亜鉛水溶液に亜鉛板、硫酸銅水溶液に銅板を入れ、2つの水溶液をセロハンで仕切ってダニエル電池をつくり、モーターにつなぎました。−極になるのはどちらの金属板ですか。また、導線を電子が移動する向きと、しばらく使ったあとの硫酸銅水溶液の色の変化を答えなさい。
目安:1問1〜2分。解き終わったら、下の「答えと解説を見る」を開いて確かめましょう。
答えと解説
問題1
次のア〜オの水溶液のうち、電流が流れるもの(電解質の水溶液)をすべて選びなさい。
ア 砂糖水
イ 食塩水
ウ エタノール水溶液
エ 塩酸
オ 水酸化ナトリウム水溶液
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答え:イ、エ、オです
考え方:水にとかしたときに陽イオンと陰イオンに分かれる(電離する)物質を電解質といい、その水溶液には電流が流れます。電離しない物質は非電解質で、水溶液に電流は流れません。
解き方:食塩(塩化ナトリウム)、塩化水素(塩酸)、水酸化ナトリウムは水の中で電離するので電解質です。砂糖とエタノールは分子のまま水にとけて電離しないので非電解質です。答えはイ、エ、オです。
よくあるミス:① 「とけている物質があれば電流が流れる」と考えて、ア やウ も選ぶミス。電流が流れるかどうかは、とけているかではなくイオンに分かれるかで決まります。② 精製水(純粋な水)にも電流がよく流れると考えるミス。精製水には電流はほとんど流れません。
確かめ:電解質の水溶液では、電極に向かってイオンが移動することで電流が流れます。砂糖水やエタノール水溶液にはイオンがないので、電流が流れない、という説明と合っています。
問題2
ナトリウム原子は、陽子の数が11、電子の数が11です。ナトリウム原子が電子を1つ失うと何というイオンになりますか。化学式で答えなさい。また、そのイオンの電子の数はいくつで、全体として+と−のどちらの電気を帯びていますか。
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答え:ナトリウムイオン(Na+)になり、電子の数は10で、全体として+の電気を帯びています
考え方:原子は、+の電気をもつ陽子と、−の電気をもつ電子の数が等しいので、全体として電気を帯びていません。電子を失うと+の電気を帯びた陽イオンに、電子を受けとると−の電気を帯びた陰イオンになります。
解き方:電子を1つ失うので、電子の数は11より1少ない10です。陽子は11のままなので+が1つ多くなり、+の電気を帯びた陽イオン、Na+になります。
よくあるミス:① 電子を失うと−になる、と逆に考えるミス。電子は−の電気をもつので、−を失うと+が残ります。② 電子を失ったときに陽子の数も変わると考えるミス。イオンになるときに変わるのは電子の数だけで、陽子の数は変わりません。
確かめ:陽子が11で電子が10なので、+が1つ多く、Na+の「+」1つと一致します。銅原子が電子を2つ失うとCu2+になるのも同じしくみです。
問題3
塩化銅水溶液に炭素棒の電極を入れて電流を流しました。陰極と陽極に出てくる物質はそれぞれ何ですか。また、塩化銅が水の中で電離するようすを、イオンの化学式を使って表しなさい。
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答え:陰極に銅、陽極に塩素が出てきます。電離のようすは CuCl2 → Cu2+ + 2Cl− です
考え方:塩化銅は水の中で、+の電気をもつ銅イオンと、−の電気をもつ塩化物イオンに電離します。+のイオンは−極(陰極)に、−のイオンは+極(陽極)に引かれます。
解き方:銅イオンCu2+は陰極で電子を受けとって銅になり、電極に赤い物質として付きます。塩化物イオンCl−は陽極で電子をわたして塩素になり、気体として出てきます。電離のようすはCuCl2 → Cu2+ + 2Cl−です。
よくあるミス:① 陰極と陽極を逆にするミス。「+の銅イオンは、反対の−極(陰極)に引かれる」と電気の引き合いで考えましょう。② 電離の式で塩化物イオンの係数2を書き忘れるミス。塩化銅CuCl2には塩素が2つあるので、塩化物イオンも2つできます。
確かめ:右辺の電気は、銅イオンの+2と、塩化物イオン2つ分の−2で、合わせると0になり、電気を帯びていない塩化銅と一致します。陽極付近の液を赤インクで色をつけた水に加えると色が消えることで、漂白作用のある塩素とわかります。
問題4
マグネシウム板・亜鉛板・銅板を、硫酸マグネシウム水溶液・硫酸亜鉛水溶液・硫酸銅水溶液にそれぞれ入れました。マグネシウム板は硫酸亜鉛水溶液と硫酸銅水溶液で金属が付着し、亜鉛板は硫酸銅水溶液でだけ金属が付着し、銅板はどの水溶液でも変化がありませんでした。3つの金属を、イオンになりやすい順にならべなさい。
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答え:マグネシウム、亜鉛、銅の順です
考え方:金属板の表面に別の金属が付着したのは、金属板の金属がイオンになって水溶液にとけ出し、かわりに水溶液中の金属イオンが金属になって出てきたからです。このとき、金属板の金属のほうがイオンになりやすいといえます。
解き方:マグネシウムは、亜鉛イオンからも銅イオンからも金属を出させたので、亜鉛や銅よりイオンになりやすい。亜鉛は銅イオンから銅を出させたので、銅よりイオンになりやすい。銅はどちらとも変化しないので、いちばんイオンになりにくい。答えはマグネシウム、亜鉛、銅の順です。
よくあるミス:① 「金属が付着した側(付着した金属)のほうがイオンになりやすい」と逆に考えるミス。付着したのは、イオンから金属にもどったほうなので、イオンになりにくい金属です。② 変化がなかった組み合わせを無視してしまうミス。「変化なし」も、どちらがなりやすいかを決める手がかりになります。
確かめ:亜鉛板を硫酸マグネシウム水溶液に入れても変化がなかったことは、亜鉛がマグネシウムよりイオンになりにくいことを示しており、マグネシウム、亜鉛、銅の順と矛盾しません。
問題5
硫酸亜鉛水溶液に亜鉛板、硫酸銅水溶液に銅板を入れ、2つの水溶液をセロハンで仕切ってダニエル電池をつくり、モーターにつなぎました。−極になるのはどちらの金属板ですか。また、導線を電子が移動する向きと、しばらく使ったあとの硫酸銅水溶液の色の変化を答えなさい。
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答え:−極は亜鉛板です。電子は亜鉛板から導線を通って銅板へ移動し、硫酸銅水溶液の青色はうすくなります
考え方:電池では、イオンになりやすい金属が電子を出して−極になります。問題4の結果から、亜鉛は銅よりイオンになりやすいので、亜鉛が電子を出します。
解き方:亜鉛板では、亜鉛が電子を出して亜鉛イオンになりとけ出すので、亜鉛板が−極です。出た電子は導線を通って銅板へ移動し、銅板の表面で水溶液中の銅イオンが電子を受けとって銅になります。青色のもとである銅イオンが減るので、硫酸銅水溶液の青色はうすくなります。
よくあるミス:① 電流の向きと電子の向きを同じだと考えるミス。電流は+極から−極へ流れるとしますが、電子は−極から+極へ、つまり逆向きに移動します。② 銅板が−極だと考えるミス。−極になるのは、イオンになりやすくて電子を出すほうの金属です。
確かめ:しばらく使うと、亜鉛板はとけて細くなり、銅板には銅が付いて厚くなります。亜鉛が電子を出し、銅イオンが電子を受けとる、という説明と合っています。電池は、物質がもつ化学エネルギーを電気エネルギーに変える装置です。
イオンと電池のまとめ表
| 項目 | おさえること | まちがえやすい点 | この記事の問題 |
|---|---|---|---|
| 電解質と非電解質 | 食塩・塩化水素・水酸化ナトリウム・塩化銅は電解質。砂糖・エタノールは非電解質 | とけていても電離しなければ電流は流れない | 問題1 |
| イオンのでき方 | 電子を失うと陽イオン、受けとると陰イオン | 変わるのは電子の数だけ | 問題2 |
| 塩化銅の電気分解 | 陰極に銅、陽極に塩素 | +のイオンは−極(陰極)に引かれる | 問題3 |
| イオンへのなりやすさ | マグネシウム、亜鉛、銅の順 | 付着した金属のほうがイオンになりにくい | 問題4 |
| ダニエル電池 | 亜鉛板が−極、銅板が+極 | 電子の向きと電流の向きは逆 | 問題5 |
迷ったときの手順
- とけている物質が電離するかどうかを先に決める(電解質か非電解質か)
- イオンは「電子を失ったか、受けとったか」で+か−かを決め、陽子の数は変えない
- 電気分解では、+のイオンは−極(陰極)、−のイオンは+極(陽極)と、電気の引き合いで考える
- 金属と金属イオンの問題は、イオンになりやすい金属が電子を出す、という1つのきまりにまとめて考える
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よくある質問
電解質と非電解質のちがいは何ですか?
水にとかしたときに陽イオンと陰イオンに分かれる(電離する)物質が電解質で、その水溶液には電流が流れます。砂糖やエタノールのように電離しない物質は非電解質で、水溶液に電流は流れません。
陽イオンと陰イオンはどうやってできますか?
原子が電子を失うと+の電気を帯びた陽イオンに、電子を受けとると−の電気を帯びた陰イオンになります。このとき陽子の数は変わりません。
ダニエル電池の−極はどちらですか?
イオンになりやすい亜鉛の板が−極、銅の板が+極です。電子は亜鉛板から導線を通って銅板へ移動します。
問題はすべて当サイトのオリジナルです。電子の数と電気のつり合いは計算で確かめています。「北辰テスト」は北辰図書株式会社の商標です。当サイトは北辰図書株式会社・埼玉県教育委員会・各高等学校とは関係のない非公式の学習支援サイトです。
