通信制・定時制・多様な進路のよくある質問56問——全日制以外の高校の選び方、入試、費用、その後の進路
高校の進路は全日制だけではありません。定時制、通信制、高等専修学校、高卒認定——それぞれに向いている人がいて、卒業後に大学へ進む人も、就職する人も、途中で全日制へ移る人もいます。このページは、埼玉県の中学生と保護者から寄せられる「全日制以外」についての質問を、制度の事実と選び方の考え方に分けて整理したものです。
- 定時制と通信制の基本(Q1〜Q10)
- 埼玉県の公立定時制・通信制と入試(Q11〜Q22)
- 私立通信制・サポート校・高等専修学校(Q23〜Q32)
- 学費・支援制度(Q33〜Q38)
- 卒業後の進路・大学進学(Q39〜Q46)
- 転入・編入・高卒認定(Q47〜Q51)
- 選び方と相談(Q52〜Q56)
1. 定時制と通信制の基本
Q1. 定時制高校と通信制高校の違いは?
定時制は決まった時間帯に学校へ通って授業を受けます(夜間、昼間、朝・昼・夜の三部制など)。通信制は自宅学習とレポート提出が中心で、月に数回から週数回のスクーリング(登校)と試験で単位を取ります。どちらも卒業すれば全日制と同じ高校卒業資格です。◎
Q2. 定時制は「夜の学校」ですか?
かつては夜間が中心でしたが、今は昼間部や三部制の定時制も多くあります。埼玉県の公立定時制でも昼間部・Ⅰ部・Ⅱ部といった時間帯を選べる学校があります。「夜だけ」というイメージは古くなっています。○
Q3. 定時制は卒業まで何年かかりますか?
基本は4年ですが、三修制(3年で卒業できる仕組み)を導入している学校も多く、通信制との併修や単位認定を使って3年で卒業する道があります。学校により異なるので募集要項で確認してください。△
Q4. 通信制は卒業まで何年かかりますか?
3年以上の在籍と74単位以上の修得が卒業要件で、計画的に取れば3年で卒業できます。自分のペースで進めるため、3年より長くかかる人もいます。◎
Q5. 通信制の「スクーリング」とは何ですか?
実際に学校へ登校して授業や実習を受けることです。科目ごとに必要な回数が決まっています。公立通信制は月に数回の日曜などが多く、私立通信制は週1日から週5日まで通学頻度を選べるコースを設けていることが多いです。○
Q6. 通信制の「レポート」はどのくらいの量ですか?
科目ごとに決まった回数の課題を提出します。1科目あたり年に数回から十数回が目安で、教科書と学習書を読んで解くワーク形式が一般的です。提出期限を自分で管理する力が必要になります。○
Q7. 定時制や通信制でも部活動はありますか?
あります。定時制には全国大会(定時制通信制大会)もあり、通信制でも部活動や行事を設けている学校があります。全日制より活動時間が限られることが多いので、学校説明会で確認してください。△
Q8. 単位制とは何ですか?
学年ごとに進級するのではなく、科目ごとに単位を積み上げて卒業する仕組みです。定時制・通信制の多くは単位制で、留年の概念がなく、自分の計画で履修を組めます。◎
Q9. 定時制と通信制、どちらが「楽」ですか?
どちらが楽ということはなく、向き不向きがあります。定時制は決まった時間に通う生活リズムができる一方、通学の負担があります。通信制は時間の自由度が高い一方、自分で計画を立てて学習を進める力が求められます。「楽か」ではなく「自分に合うか」で考えるのがおすすめです。○
Q10. 全日制と定時制・通信制では、卒業資格に差がありますか?
ありません。いずれも学校教育法上の高等学校卒業で、履歴書には「〇〇高等学校 卒業」と書きます(課程名の記載は任意)。大学受験資格も同じです。◎
2. 埼玉県の公立定時制・通信制と入試
Q11. 埼玉県に公立の通信制高校はありますか?
あります。埼玉県立大宮中央高等学校が通信制課程を持つ公立高校です。学費が私立通信制より抑えられる一方、自学自習の比重が大きいのが特徴です。詳細は県教委と学校の募集要項でご確認ください。◎
Q12. 埼玉県の公立定時制はどこにありますか?
県内各地に設置されています。2027年度の県教委資料には、大宮科学技術(工業技術科)、春日部、川越工業、狭山緑陽、羽生、吹上秋桜、吉川美南などの定時制課程が掲載されています。通える範囲にどの学校があるかは県教委の一覧でご確認ください。◎
Q13. 公立定時制の入試にも学力検査はありますか?
あります。2027年度の県教委確定版では、定時制の多くも特色選抜として学力検査(5教科500点)・調査書・面接で選抜します。全日制と同じ日程・同じ問題(共通問題)です。◎
Q14. 公立定時制の配点はどうなっていますか?
学校により異なります。例として、春日部(定時制)は第1次が学力検査500+調査書200+面接100、第2次が500+200+200。川越工業(定時制)は500+400+100と500+400+200。吹上秋桜は500+270+210と500+135+210です。全日制より面接の比重が大きい学校が多いのが特徴です。◎
Q15. 公立定時制の学年比率は?
1:1:1(全学年均等)の学校が多く、狭山緑陽の1:1:3や吉川美南Ⅰ部の1:2:3のように中3重視の学校もあります。県教委の概要一覧でご確認ください。◎
Q16. 定時制の面接はどんな内容ですか?
個人面接が中心で、志望理由、高校でやりたいこと、学校生活への意欲などが聞かれます。配点が大きい学校では面接が合否を左右します。中学校で模擬面接を頼み、自分の言葉で話せるように準備してください。○
Q17. 定時制のⅠ部・Ⅱ部とは何ですか?
三部制などの定時制で、通う時間帯の区分です。狭山緑陽や吹上秋桜ではⅠ部・Ⅱ部を設け、狭山緑陽はⅠ部⇔Ⅱ部の相互第2志望が認められています。時間帯の詳細は学校でご確認ください。◎
Q18. 定時制と全日制を同時に受けられますか?
埼玉県の公立入試は1校1課程への出願が原則です。全日制で不合格だった場合、定時制・通信制の欠員補充や追加募集に出願できる場合があります。日程と要件は県教委の発表でご確認ください。△
Q19. 公立通信制(大宮中央)の入試はどうなっていますか?
通信制課程は全日制とは別の募集方法で、書類と面接などによる選抜が中心です。募集時期も異なります。県教委と学校の募集要項でご確認ください。△
Q20. 定時制を受けるのに北辰テストは必要ですか?
必須ではありません。ただし学力検査は全日制と同じ共通問題なので、北辰で自分の得点力を知っておくと準備の目安になります。私立通信制の併願で確約を取る場合も、北辰の成績が使えることがあります。○
Q21. 定時制の倍率はどのくらいですか?
学校・年度によって差が大きく、定員割れの学校もあれば、昼間部で倍率が1倍を超える学校もあります。県教委が公表する志願状況で最新の数字を確認してください。△
Q22. 定時制は何歳まで入学できますか?
年齢の上限はありません。中学校を卒業していれば、社会人や既卒者も出願できます。10代の生徒が多い学校もあれば、幅広い年齢層の学校もあります。○
3. 私立通信制・サポート校・高等専修学校
Q23. 私立の通信制高校はどう選べばよいですか?
見るべきポイントは、通学頻度の選択肢、スクーリング会場の場所、学費の総額、進路実績、学習サポートの体制、通う生徒の雰囲気の5つです。必ず複数の学校の説明会や個別相談に行き、同じ質問をして比べてください。○
Q24. 「サポート校」とは何ですか?
通信制高校の生徒の学習や生活を支援する民間の教育施設です。サポート校だけでは高校卒業資格は取れず、必ず提携する通信制高校に在籍します。学費は通信制高校とサポート校の両方にかかるため、総額を確認してください。◎
Q25. 通信制高校の「本校」と「キャンパス」の違いは?
本校は認可を受けた学校の所在地で、キャンパスは各地の学習拠点です。スクーリングを本校で行う学校と、キャンパスで行える学校があり、遠方の本校への集中スクーリングが必要な場合は交通費と宿泊費も考えておく必要があります。○
Q26. 「広域通信制」とは何ですか?
複数の都道府県から生徒を受け入れる通信制高校です。埼玉県内に本校がなくても、県内のキャンパスから通えることが多いです。◎
Q27. 高等専修学校とは何ですか?
専修学校の高等課程で、調理、美容、情報、福祉などの職業教育を中心に学びます。3年制で文部科学大臣が指定する課程を修了すれば、大学入学資格が得られます。通信制高校と併修して高校卒業資格も取れる学校があります。◎
Q28. 私立通信制の入試はありますか?
書類選考と面接が中心で、作文を課す学校もあります。学力検査で選抜する学校は少数です。定員に達すると締め切る学校もあるため、出願時期を早めに確認してください。○
Q29. 私立通信制でも「確約」はありますか?
一部の学校では個別相談で出願の目安を示すことがありますが、全日制私立のような北辰の成績を使った確約の慣行とは異なります。学校ごとに確認してください。△
Q30. 通信制高校で「週5日通学コース」を選ぶ意味は?
全日制に近い生活リズムを保ちながら、単位認定の柔軟さや少人数の支援を受けられる点です。学費は通学頻度が高いほど上がる傾向があります。全日制との違いを説明会で確認してください。○
Q31. 通信制高校の授業はオンラインで受けられますか?
映像授業やオンライン学習を組み合わせる学校が増えていますが、法令で定められたスクーリングと試験は対面が基本です。「完全オンライン」ではない点に注意してください。◎
Q32. 通信制高校の生徒はどんな人が多いですか?
学校によって本当にさまざまです。スポーツや芸術活動と両立する人、働きながら学ぶ人、自分のペースで学びたい人、全日制から転入した人などがいます。「どんな生徒が通っているか」は説明会で率直に聞いてよい質問です。○
4. 学費・支援制度
Q33. 公立定時制の学費はどのくらいですか?
授業料は全日制より低く設定されており、高等学校等就学支援金の対象です。所得要件を満たせば授業料の実質負担がなくなる場合があります。教科書代や諸経費は別途かかります。◎
Q34. 私立通信制の学費はどのくらいですか?
学校と通学コースによって幅が大きく、年間で数十万円から百万円を超える場合まであります。就学支援金は履修単位数に応じて支給されるため、通信制の授業料には対応しますが、サポート校の費用は対象外です。総額で比較してください。○
Q35. 就学支援金は定時制・通信制でも使えますか?
使えます。公立・私立ともに対象で、通信制は単位数に応じた支給です。所得要件があります。申請は入学後に学校を通じて行います。◎
Q36. 埼玉県独自の支援制度はありますか?
埼玉県には私立高校の授業料や施設費に対する補助制度があり、通信制も対象になる場合があります。要件と金額は年度で変わるため、埼玉県の公式ページと学校でご確認ください。△
Q37. 奨学金は利用できますか?
高校生向けの奨学給付金(低所得世帯向け)や、埼玉県・市町村の奨学金、民間の奨学金があります。定時制・通信制の生徒も対象になるものが多いです。中学校や進学先の学校に相談してください。○
Q38. 働きながら通う場合、時間の組み方は?
夜間定時制は昼に働いて夜に通う形、通信制は勤務の合間にレポートを進めてスクーリングの日だけ登校する形が一般的です。学校によっては勤労生徒向けの相談窓口や制度があります。○
5. 卒業後の進路・大学進学
Q39. 定時制や通信制でも大学に進学できますか?
できます。卒業すれば高校卒業資格として全日制と同じ扱いで、大学・短大・専門学校の受験資格があります。学校推薦型選抜や総合型選抜も利用できます。ただし授業時間が少ない分、大学受験の学習は自分で補う必要があり、進学サポートの手厚さは学校によって大きく違います。◎
Q40. 通信制から大学に行くには何が必要ですか?
高校の卒業要件を満たすことと、受験科目の学力です。通信制の履修だけでは受験科目の学習量が不足しやすいので、進学コースのある学校を選ぶか、塾・予備校・映像教材で補う計画を早めに立ててください。○
Q41. 定時制・通信制から指定校推薦はもらえますか?
学校によっては指定校推薦の枠を持っています。枠の有無と対象大学は学校ごとに違うため、説明会で「進学実績と推薦枠」を具体的に聞いてください。△
Q42. 就職には不利ですか?
定時制・通信制の卒業だけを理由に不利になることは制度上ありません。定時制には学校を通じた就職斡旋(ハローワークとの連携)があり、就職に強い学校もあります。○
Q43. 専門学校への進学はできますか?
できます。高校卒業資格があれば専門学校の受験資格があります。高等専修学校を経て同系統の専門学校に進む道もあります。◎
Q44. 通信制で英検や資格を取ることはできますか?
できます。資格取得を単位として認める学校もあります。通信制は自由に使える時間が多いので、資格学習に充てる人も少なくありません。○
Q45. 通信制高校の「進路実績」はどう読めばよいですか?
卒業生数に対する進学者・就職者の割合と、「進路未定」の割合を見てください。有名大学の合格者名だけを大きく掲げる学校は、全体像がわからないことがあります。率直に「卒業生全体の進路の内訳」を聞いてよい質問です。○
Q46. 大学進学を考えるなら、北辰テストは受け続けたほうがよいですか?
中3の間は受けておく価値があります。自分の学力の現在地を客観的に知ることは、どの進路でも役に立ちます。定時制・通信制の入試に必須でなくても、高校での学習計画を立てる材料になります。○
6. 転入・編入・高卒認定
Q47. 高校に入ってから合わないと感じたら、転校できますか?
できます。全日制から定時制・通信制への転入(転学)は比較的よく行われています。在籍していた学校で修得した単位は引き継げるのが原則です。時期と要件は転入先の学校に確認してください。◎
Q48. 転入と編入の違いは?
転入は在学中の高校から別の高校へ移ること、編入は一度高校を退学した後に別の高校へ入り直すことです。編入は退学時点で修得していた単位が引き継げます。◎
Q49. 高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)とは何ですか?
高校を卒業していなくても、高校卒業と同程度の学力があることを認定する国の試験です。合格すると大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。ただし「高校卒業」そのものではないため、最終学歴は中学校卒業のままです。◎
Q50. 高卒認定は何科目受けるのですか?
8科目から10科目程度で、高校で修得した単位があれば科目免除が受けられます。年2回実施されます。詳細は文部科学省のページでご確認ください。◎
Q51. 通信制から全日制へ戻ることはできますか?
制度上は可能ですが、全日制側の欠員と転入試験の有無によります。埼玉県の公立高校では転入学の募集が定期的に公表されています。実際にはハードルが高いこともあるため、早めに情報を集めてください。△
7. 選び方と相談
Q52. 全日制以外の進路について、誰に相談すればよいですか?
まず中学校の担任・進路指導の先生とスクールカウンセラーに相談してください。埼玉県教育委員会や市町村の教育相談窓口、各校の学校説明会や個別相談も利用できます。定時制・通信制は学校ごとの違いが大きいので、複数の学校を実際に見て比べることが大切です。○
Q53. 保護者として、どう話を聞けばよいですか?
「なぜその進路を考えているのか」を否定せずに聞くことが出発点です。そのうえで、学費、通学の現実、卒業後の道を一緒に調べてください。本人が説明会で自分の言葉で質問できると、選択に納得感が生まれます。○
Q54. 説明会で必ず聞くべき質問は?
「卒業率と卒業までの平均年数」「卒業生全体の進路の内訳」「年間の学費総額(諸経費・サポート費用込み)」「スクーリングの場所と頻度」「困ったときに誰が相談に乗ってくれるか」の5つです。同じ質問を複数校にすると違いがはっきりします。○
Q55. 中3の何月までに決めればよいですか?
公立定時制は全日制と同じ入試日程(2月)で、私立通信制は出願期間が長い学校が多いですが、人気校は早く締め切ることがあります。秋までに候補を絞り、説明会に行っておくと余裕を持って選べます。○
Q56. 全日制以外を選ぶことは「逃げ」ですか?
違います。学び方や生活の形に合う学校を選ぶことは、進路選択そのものです。定時制・通信制から大学へ進む人も、専門分野で活躍する人も多くいます。大切なのは、自分の状況に合う場所で学びを続けられることです。迷いや不安が大きいときは、一人で決めず、信頼できる大人や相談窓口に話してみてください。○
本ページは埼玉県教育委員会の公表資料(令和9年度各高等学校の選抜実施内容 確定版)および高等学校教育制度の一般的な情報をもとに作成した非公式のガイドです。学校ごとの制度・費用・入試方法は年度や学校によって異なり、転記や理解の誤りがある可能性があります。出願や進路の判断は、必ず県教委の原本、各学校の募集要項、学校説明会でご確認ください。「北辰テスト」は北辰図書株式会社の商標です。当サイトは北辰図書株式会社・埼玉県教育委員会・各高等学校とは関係のない学習支援サイトです。
